2022/02/24 09:32



エンドカンナビノイド・システム(ESC)は人間の体内にある生化学的な信号伝達システムで、私たちの生理機能、気分、そして日常生活の調整に欠かせない役割を果たします。


体内には、地球上で生きていくために本来備わっている身体調節機能=内因性カンナビノイド系(Endocannabinoid system)があります。内因性カンナビノイド系は、食欲、痛み、免疫調整、感情制御、運動機能、発達と老化、神経保護、認知と記憶などの機能をもち、細胞同士のコミュニケーション活動を支えています。

 内因性カンナビノイド系は、1990年代に発見されたアナンダミド“2-AG”と呼ばれる内因性カンナビノイドとそれらと結合する神経細胞上に多いカンナビノイド受容体“CB1”、免疫細胞上に多いカンナビノイド受容体“CB2”などで構成され、全身に分布しています。

 最近の研究では、内因性カンナビノイド系は、外部からの強いストレスを受けたり、加齢に伴う老化によって、内因性カンナビノイド系の働きが弱り、いわゆる「カンナビノイド欠乏症」になると、様々疾患になることが明らかになってきました。


現代科学における最も素晴らしく、それなのにほとんど知られていない発見は、その中心に大麻草がありました。大麻の作用に関する研究が直接的に、それまで知られていなかった生化学的信号伝達システムが人間の体内にあるという発見につながったのです。それがエンドカンナビノイド・システムであり、私たちの生理機能、気分、そして日常生活の調整に欠かせない役割を果たします。

カンナビノイドに薬理学的に反応する受容体が脳に存在している、という発見、またそれに続いて、人間の体内にこれらの受容体と結合する内因性カンナビノイドが発見されたことが、人間の生態、健康や疾患に関する理解を大きく前進させました。

カンナビノイドをはじめとする大麻草の成分が、人間の脳や体のさまざまな生理系を調節しているということは、科学的に実証された事実です。カンナビノイドという化合物は、カンナビノイド受容体やその他の受容体を刺激します。これまでに、大麻草含まれるカンナビノイドには100種類以上あることが明らかになっています。